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ピロリ検査(採血)

2022.11.24

 

検査項目 検査の説明

ピロリ抗体

(血液)

ヘリコバクターピロリ菌の感染の有無を調べます。ピロリ菌は慢性胃炎・胃十二指腸潰瘍・胃がんの原因と考えられています。
ペプシノゲン 胃酸の分泌に関与するペプシノゲンⅠとⅡを測定する事により胃の粘膜の萎縮の程度を判定する検査です。
ABC検診 ピロリ抗体およびペプシノゲン検査の結果を組み合わせて、胃がんになるリスクをA~E群に分類して評価します。あくまでリスクであり、実際に胃がんとなっているかはわかりません。

 

●胃がんリスク層別化検査(ABC検診について)

◇ヘリコバクター・ピロリ菌とは?
ヘリコバクター・ピロリ菌(以下、ピロリ菌)は胃酸の分泌や胃粘膜の免疫機能の働きが不十分な幼少期(4~5歳)頃までに感染すると考えられています。子供の頃に感染しなかった場合、大人になってから感染する事は稀だと言われています。
ピロリ菌感染により長きにわたって胃粘膜が攻撃されると、萎縮性胃炎(胃粘膜がすり減る)→腸上皮化生→胃がんを引き起こす可能性がある事が近年わかってきました。その為、ピロリ菌の検査結果が陽性だった場合、胃内視鏡検査および除菌治療をお勧めしています。

一方、あまりにも胃粘膜萎縮がひどいと胃の環境が変わってしまい、ピロリ菌が死んでしまいます。胃粘膜萎縮が進んでピロリ菌がいない状態は、胃がんになりやすいと考えられています。ABC検診では血中のヘリコバクター・ピロリ抗体で「現在のピロリ菌感染の有無」を確認します。

 

◇ペプシノゲンとは?
胃の消化酵素の前駆体(もと)である「ペプシノゲン」という物質の血中濃度を測定する事で、胃粘膜の萎縮の状態を客観的に調べる検査です。
「ペプシノゲンⅠ」と「ペプシノゲンⅡ」に大別されます。両者を測定する事で簡便に萎縮性胃炎を診断する事が出来ます。
萎縮性胃炎では「ペプシノゲンⅠ」の低下と「ペプシノゲンⅠ/Ⅱ比」の低下が認められます。

 

◇胃がんリスク層別化検査(ABC検診)とは?
「ヘリコバクター・ピロリ抗体」と「ペプシノゲン検査」を組み合わせ、A・B・C・D・E群の5群に分類し、血液検査にて胃の健康度(胃がんのリスク)を評価する方法です。なお、ABC検診はあくまで無症状・ピロリ菌の未除菌の方を対象にしています。
その為、以下の方は注意が必要です。
  ・ 明らかな上部消化器症状や腹痛のある方
 ・ 上部消化器疾患治療中にて胃薬内服中の方
 ・ 胃切除後の方
 ・ 腎不全(クレアチニン値 3以上㎎/dL)の方
 ・ ピロリ菌の除菌治療を受けた方

 

判定 区分 ピロリ菌 ペプシノゲン  
正常 A群 陰性 陰性 健康的な胃粘膜で、胃の病気になる危険性は低いと考えられます。確認の為、一度、内視鏡検査や胃バリウム検査などの画像検査を受ける事をお勧めします。
異常 B群 陽性 陰性 少し弱った胃です。胃潰瘍・十二指腸潰瘍などに注意しましょう。またピロリ菌の除菌治療をお勧めします。一度、消化器内科にて内視鏡検査を受けましょう。
異常 C群 陽性 陽性 胃がん等の病気になりやすい萎縮の進んだ、弱った胃です。ピロリ菌の除菌治療をお勧めします。定期的な内視鏡検査を受け、胃の病気の早期発見・早期治療に努めましょう。
異常 D群 陰性 陽性 胃がん発症のリスクが極めて高い、萎縮が非常に進んだかなり弱った胃と考えられます。毎年、内視鏡検査をお受けください。

   E群:ピロリ菌の除菌治療を受けた方は、除菌判定の結果に関わらずE群(除菌群)となります。

   ABC分類・ピロリ抗体検査の対象外です。

   除菌後も病気になりやすい萎縮した胃になっており、胃がんになるリスクはあります。

   定期的な内視鏡検診が勧奨されています。

   今後も経過観察(年1回)で内視鏡検査を受けましょう。